病気のはなし

多発性硬化症が発覚するまでの経緯その④いよいよ大学病院へ

脳神経外科の先生が書いてくれた大学病院での診察は年が明けてからだった。

その大学病院は自宅から徒歩5分程度の病院だ。毎日目にする病院だし、以前にも皮膚科病棟に入院したことがあったので手続きやなんやらはスムーズにできた。

受付を済ませて待合室で待つこと2~3時間、やっとの思いで名前が呼ばれた。

まずは症状の説明と経緯を説明し、診察が始まる。

病院には奥さんも一緒に来てくれたのだが、振り返るととても不安そうな表情をしていたのが印象的だった。

両手を肩の高さくらいに上げて、目をつぶって水平を維持してみてくださいとか

手のひらをつついて感覚がどれくらいあるかを0~10の段階で教えて下さいとかだった。

最初の脳神経外科ではこんな診察はされなかったので、キチンと診察してくれてると感じ嬉しく思った。

嬉しく感じると同時に、先生の後ろに控えている医学部の学生さん達の視線をおかしく感じた僕は笑っていた。

先生「どうしたの?」

僕「いや、めっちゃ見てくるなと思って」

先生「学生さんだからね、気になるなら退席させますよ?」

僕「ぜひ最後まで見ていって下さい」

こんな軽口を叩けるのも久しぶりで嬉しかった。

次にMRI画像を見ながらの説明が始まる。

まずは正常な脳のMRI画像を見せてくれた。

並べて自分のMRI画像。

異常はすぐに分かった。自分のMRI画像には素人の自分にもハッキリと分かる白いモヤみたいなものが大きいものだけで6つハッキリ写っていた。

それは分かったのだが、それが意味するところがわからない。

振り返ると奥さんが泣いていた。それを見た僕は怖いとか辛いとかではなく、とてつもなく申し訳ないという思いがこみ上げていた。

顔を戻すと、先生の手元にある紹介状の文字が目に入った。その紹介状には「脳腫瘍(ギ)病識なし」と書いてある。

まず間違いなく僕が書いてもらった紹介状だろうと思い「脳腫瘍ってやつですか?」と聞いてみた。

先生「それはまだ分からないよ」と返す。

僕「でも紹介状にハッキリと書いてますよ」

先生「(ギ)だからね。これは疑惑のギだよ」と返す。

僕「なるほど。じゃあ検査とか今からするんですか?」

先生「検査もあるし、病状が悪化した時のことを考えて入院したほうがいいね」

僕「わかりました。いつから入院したらいいですか?」

先生「今日にでも入院できる?早いほうがいいよ」

僕「今日は無理なので2~3日後にしてください」

先生「了解です。じゃあ3日後に入院してください。症状が悪化したら救急でもいいのですぐに来てくださいね」

こんなやりとりでその日の診察が終わり、3日後の入院が決まった。

奥さんに何で泣いてたのか聞くと、MRI画像を見た時に「ガンかもしれない」と思ったのだという。

奥さんは奥さんで不安に潰されそうになりながらも僕を励ましてくれていたんだと思うと申し訳ない気持ちでいっぱいだった。




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